【アスリートレポート】田中正人選手 チームイーストウインド
Patagonia Expedition Race 2012
大会名 | Patagonia Expedition Race 2012 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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大会公式サイト | http://www.patagonianexpeditionrace.com | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
開催期間 | 2012年2月11日〜2月25日(レース期間は2月14日〜22日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施主体 | Nómadas Outdoor Services | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
総距離 | 565km程度 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レース種目 | マウンテンバイク、トレッキング、シーカヤック、ロープアクティビティ(全種目ナビゲーションで進む) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参加チーム | 19チーム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
完走チーム | 10チーム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
総合成績 |
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コース詳細
1.MTB 75km・・・スタートからCP1
2.Kayak 87km ポーテージ10km(5km操舵、5kmポーテージ)・・・CP1〜CP5
3. Trekking 90km・・・CP5〜C8
4. MTB 140km・・・CP8〜CP9
5. Trekking 142km・・・CP9〜CP19
6. Kayak 47km・・・CP19〜ゴール
Team EAST WIND 感想
田中 正人 (たなか まさと)
とうとうトップチームの戦い方が分かった感じがした。PERへの挑戦を始めて3年。トップチームの戦い方を模索して傾向までは分かってきていたが、どう実現できるのかあがいてきたと思う。
今回のレースでとうとうそれを実現することができた。トップチームの戦い方は実にシンプルだ。ベクトルを目標に真っ直ぐ合わせ、あれこれ余計なことを考えて立ち止まることがないように常に進み続けること。ただそれだけ。それだけで2位という結果を得ることができた。しかし、チームのベクトルを一寸の揺るぎもなく真っ直ぐ保つことは簡単ではない。チームが信頼のもとに真に団結しなければならなかった。レース中はチームの雰囲気や士気を保つために非常に気を使った。そのためにお互いに支え合った。時には叱責したり、叫び声を出したり、冗談を飛ばしたり、笑い合った。
EAST WINDは、とても良いチームになってきている。特に陽希の成長が目覚ましいのが頼もしい。次は世界の頂点だ。それを目指す過程を大切にしていきたい。今後とも皆さんの応援を力にして頑張っていきたい。
田中 陽希 (たなか ようき)
今回のレースは序盤から激しい上位争いが続いた。10回目の記念大会ということもあり、前回よりも参加チームが増え、14か国から20チームがエントリーし19チームが出場した。また、参加チームのほとんどが過去のレースの出場経験があり、昨年の上位5チームが全チーム出場したり、昨年の世界選手権入賞チームが参戦してきたりなど、かなりのレベルの高いレース展開が予想された。
事実、序盤から中盤にかけてはめまぐるしい順位変動があり、1位から8位くらいまでは2〜3時間の間にひしめく状況だった。
そんな中、いつもなら後半のレース展開を考え前半は余力を残すことが多かったのだが、今までになく前半から恐れることなく自分たちの目標に向けて、全員でプッシュし続けることができた。また、今回も後半に長く厳しい戦いになることが予想されるトレッキングセクションが控えている中、チームとして前半からプッシュし続けることに不安はあったものの、3位以内でのゴールをするためにはかなりの覚悟と前半から上位をキープし、自分たちの力でレースの流れに乗ることが必要不可欠だった。
初めてのレース展開ではあったが、序盤から上位に居続け、初日から3位以内をキープし続けたのはチームの成長はもとより、全員が一つの目標に向かって断固たる決意のもと前進し続けることが出来たからだと思う。1週間以上精神的・肉体的に酷使していく中で、1つの思いを強く持ち続けることは容易なことではない。でも、それを体現できたのは今まで目指してきた世界のトップレベルと戦える準備が出来てきたという証だったと思う。
まだまだ夢半ば、世界のトップに躍り出るためのスタートラインに立てた。これからが本当の闘いなのかもしれない。
倉田 文裕 (くらた ふみひろ)
3位に入れなかったら「負け」。そういう意気込みと覚悟をもって今回レースに臨みました。ベスト3というのはどんなレースでも選ばれたチームのみが踏み入れられる領域で、フィジカル面で海外の選手に劣る我々がそこに踏み込むためには、身も心もボロボロに削って頭も使って効率よく余力を残さず戦わないといけませんでした。効率よくという意味では夜の暗い時間に必ず3時間しっかり寝るという事を実践しました。これが素晴らしい効果を生み、いつもは昼間に突然襲い掛かる睡魔に悩まされることなく日のある時間にしっかり距離を稼ぐという効率の良い行動をとることができました。
更には「前へ前へ」という事を強く意識して「立ち止まらない」ということを心掛けることで目の前に倒木帯が現れても藪が現れても怯む事無く前へ進むことができました。色々な運に助けられた面もありますが今回我々は正にチーム一丸という言葉がぴったりな行動で一人一人が全力を出し切り気持ちを切らす事無く目標の3位以内の2位という結果でゴールすることが出来ました。身も心もボロボロになって得た結果なのでメンバー全員レース直後は満身創痍でしたが皆さまからの温かい祝福のコメントなどに癒されて急速に回復しております。今回も皆さまからの温かいご支援、ご声援に支えられ我々はゴールまで戦い抜く事ができました。心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
和木 香織利 (わき かおり)
レースを終えて準優勝したという実感は正直あまりありません。ただ、これまでとは全く違いチームが理想としていたレース展開が出来たので自ずと結果がついてきたのだと思います。世界一ワイルドでタフなアドベンチャーレースで3位以内での完走という大きな目標を掲げ、これまでよりも1ステップではなく、2ステップ上のレベルのレース展開をしなければならないとメンバー全員が理解し意識していました。いつもなら長丁場のレースで最後まで走りきるために、マイペースを意識していましたが、今回はスタートからトップ集団に食い込みプッシュし続けました。
個人的な目標としても「守りのレースではなく、攻めたレース」を意識しました。レース2日目にしてすでに筋肉疲労が激しく、正直このまま最後まで持つのか不安でしたがしっかり回復するために3時間睡眠を徹底。以前は1時間半〜2時間の睡眠で毎回起きるのが拷問のように辛かったですが、3時間寝るとかなり疲労回復出来てスッキリ目が覚め、日中に眠くて集中力が切れるということがありませんでした。夜間行動を短縮し、必然的にロストする確率も減っていました。レース全体を通して非常に効率よかったと思いました。とは言え、さすがに全員がレース中ずっと元気でいることは出来ないので、そういうときは元気なメンバーが先頭を引っ張りチームのペースを維持。途中内臓がやられて口の中がボロボロになり鼻血が止まらず、過呼吸になり、オーバーユースで膝が痛んだりと振り返ると色々ありましたが、4人で目標に向かう力は何よりも大きくとにかく気持ちを一つに強く持ち続けることが出来ました。最終的にはディフェンディングチャンピオンのAdidas TERREXに敵いませんでしたが、これまでは遠くの存在だった彼らと競り合って優勝も確実に現実的な物だと感じました。
レース中は辛いこと、苦しいことばかりなのですがメンバーと気持ちを一つに前進していると、全てが楽しくなってしまうのが不思議です。
いつも思うことですが、とにかく日本で応援してくれている皆さんに胸を張って大きな笑顔で結果報告がしたい。それが出来ることに喜びを感じています。応援本当にありがとうございました。今後とも引き続き、チームイーストウインドをよろしくお願い致します。