【アスリートレポート】片山梨絵選手
Cyprus Sunshine Cup#2 Afxentia HC-Stage Race
レース名 | Cyprus Sunshine Cup#2 Afxentia HC-Stage Race | |||||||||||||||
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場所 | キプロス共和国 Macheras Forest | |||||||||||||||
日時 | 2012年2月24日〜26日 | |||||||||||||||
結果 |
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今年の活動は3月のワールドカップ開幕からを予定していたが、急遽キプロスのステージレースに参加できることになった。今季の活動を決める年末の時点では去年の夏に崩した体調が回復しきっていなかったので決心がつかなかったけど、その後のトレーニングが順調だったことと、何よりもスポンサーであるじてんしゃの杜の池本店長がメカニックとして帯同してもらえることになったことが大きな後押しになり、キプロス遠征が実現した。このレースは数少ないステージレースでしかもオークラスなので、ポイント配分が非常に高く、五輪枠獲得のためには重要なレースだ。
Stage1 – XCT(タイムトライアル) | ||||||||||||||||
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結果 |
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クロスカントリーコース1周を使ってのタイムトライアル。コースは去年と全く同じものだった。最初から飛ばしすぎないように脚を回転させてスタート。去年と比べて速く走れていることを感じながらバイクを進めていき、ゴールタイムはやはり去年よりも30秒以上更新していた。が、結果は14位。去年優勝したLangvad選手のタイムはほぼ同タイムだからコースコンディションは変わらないと思うけど、トップタイムの大幅な更新と、それに続くタイムで走れている選手の多さに驚いた。やはり五輪イヤーだけあってみんなコンディションを上げてきている。シングルトラックのコーナーで多少オーバーランするミスが何度かあったのでそれを明日からの課題にするとして、あとは「時差ボケのせいだろう、明日から良くなるはずと言い聞かせて翌日のレースに備えた。
Stage2-XCP(Point to Point) | ||||||||||||||||
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結果 |
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今日はロングステージ。最初は緩やかなアップダウンの続くジープ道で、続いて大きな山の山頂目指して長いシングルトラックを登り、そこからシングルトラックを一気に駆け下りるワンウェイのコース。ジープ道では大きな集団のままロードレースさながらのポジション取りをしながら進んでいく。本格的な登りに差し掛かるまではトップ集団にいたいと思っていたので北京五輪金メダリストのSpitz選手をチェックしながら進んでいった。砂利の浮いた滑りやすい下りコーナーで集団の後方に埋もれ、また先頭まで上がり、を繰り返していた。脚は良く回るけど、周りの選手の下りのスピード感に対応できずにいた、アップダウンが終わって登り基調になってきてから徐々に順位を上げる。まだSpitz選手の背中が見える位置だ。
去年はペダルをひたすら踏みしめていて苦しかったけど、今年は回転させているとどんどん順位が上がっていく。去年の教訓から補給をこまめに摂るようにしながら冷静に登っていき、山頂を4位で通過した。この時点でレース開始から1時間半以上経過していてトップからのビハインドは2分と少ない。後は30分間下り基調のコースを走りきるのみ。このままの順位でゴールできるよう自分をプッシュしていく。
山頂前、つづら折れの登りで後ろの2名の選手が見えていたのでまだ気が抜けない。下っている自分の感覚としては上手く乗れてると思った。2日前の試走に下った時よりも断然スムーズに走れていたのでこのまま逃げ切れると思った。が、結果はなんと5人もの選手にパスされ、タイム差も開けられてしまった!
日本の練習でイメージしていた下りのスピードでは、世界の自分が走りたい位置では全く対応できないことを痛感させられた。がそれよりも、登りの感覚が非常に良かったのが嬉しかった。ベースはしっかりと出来ているので、ここからシーズンに向かって踏ん張っていいトレーニングを積んでいけば、今まで以上のスピードを積み上げていけるだろう、とモチベーションが上がった。
Stage3-XCO(クロスカントリー) | ||||||||||||||||
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結果 |
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最終日は本業のクロスカントリーレース。スタートループ+周回サーキット4周のレースだ。ウォーミングアップをしてみると昨日レースをしたとは思えないほど脚が軽く、いつもの1dayクロスカントリーレースを変わらない状態で最終日を迎えることが出来た。11月から毎月参加させてもらっていたロードのナショナルチーム合宿で、連日「これでもか!」という程キツイトレーニングを重ねていたので、だいぶ回復力がついたようだ。「練習は裏切らないという基本的なことを再確認したとともに、一人では絶対出来ないようなトレーニングを一緒にする仲間に恵まれていることに心から感謝した。
スタートループは先頭パックで通過する。1周目に入り、登りでは5位ぐらいまで上がってガンガン踏めていたけど、下りに入ると追いつかれ、私は人より下りで消耗しながら走っているのでシングルトラックを抜けるたびに抜かされていってしまった。なるべくスムーズに、とハンドリングに集中する。このレースの間に少しでも下りのスキルアップをしてやる、と思いながら走っていた。
9位のポジションで落ち着き、単独で走っていく。後ろが2〜3人パックでペースを上げているのが分かったので再度自分をプッシュするが、最終ラップに入る前の下りで3人にパスされてしまった。自分のペースが落ちた感覚はないけど、海外の選手は最終ラップの追い込みにとても強いのを前から感じていて、そんな展開になってしまった。
更にラスト1kmでもう一人の選手に追いつかれたけど、「ここであっさり抜かされては進歩がないな」と最後の根性を振り絞ってなんとか逃げ切った。今日の結果は12位だったが、総合では一人に抜かされ、一人逆転したので、昨日までと変わらず9位で終了した。
出発前は去年と同じ5位ぐらいを目標にしていたが、スタートリストを見ると良いメンバーが集まっていたのでトップ10を目標に置きなおした。結果、なんとかその順位には納まることができた。数字はともかく、今回のレースは体の感覚がとても良かったのでこれから開幕するワールドカップに向けて弾みがついた。
課題は下り。今年から本格的に使い始める新しい29インチバイクでワールドカップの開幕前にレースを走れたこと、トップ選手のスピードを体感できたことはとても大きな収穫だった。今まで8年間フルサスペンションバイクに乗っていたので、久しぶりのリジットであること、29インチに初めて乗ることで下りに対する慣れがもう少し必要だけど、トータルでいえばこのバイクの方が速く走れることを確信したレースでもあった。
来月から始まるワールドカップでしっかり成績を出して日本のランキングを上げていけるよう、ハンドリングの克服とトップスピードの引き上げを課題に頑張っていきたい。
片山梨絵
バイク:SPECIALIZED Fate Comp Carbon 29
タイヤ:SPECIALIZED S-WORKS Renegade (F:1.2 / R:1.3)
ヘルメット:SPECIALIZED S-Works Prevail
アイウエア:OGK Kabuto REALIS、NXTソフトレンズ
データ:POLAR RS800CX BIKE
ペダル:SHIMANO XTR
マッサージオイル:Sports Balm イエロー2、レッド1
ニュートリション:パワージェル、GOLD'S GYMアルティメッエネルギードリンク
テーピング:New-HALE
コンディショニング:日本カイロプラクティックセンター大船・伊藤超短波
サプリメント・トレーニング:ゴールドジム
メカニックサポート:轍屋自転車店
アイウエア調整:メガネナカジマ
遠征サポート:じてんしゃの杜
合宿サポート:SY-Nakキャビン(長野県 野辺山高原)